ラス・マンチャス通信
2008年11月21日 読書ISBN:4104722014 単行本 平山 瑞穂 新潮社 2004/12/21 ¥1,470
僕は常に正しく行動している。姉を犯そうとした「アレ」は始末されるべきだし、頭の足りない無礼なヤンキーが不幸になるのは当然だ。僕のせいではない。でも、なぜか人は僕を遠巻きにする。薄気味悪い虫を見るように―。カフカ+マルケス+?=正体不明の肌触りが、鈴木光司氏の絶賛を浴びた異形の成長小説。第16回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。
平山瑞穂デビュー作にして、著書の中で最高評価をされている日本ファンタジーノベル大賞受賞作。ネットリとまとわりつくような、気味の悪い連作短編の連なり。結末が明かされぬままに次の話に飛んでしまったりして、やや消化不良になる。
物語に登場する、人間ではない様々な何かも、描写が少なくてよく判らない。これは、描写不足というよりも、あえてボカす事により不気味さを醸し出す為だと思うけど、何がいるのか非常に気になる。
いつも不条理な出来事に翻弄され続ける一人の男。姉を救う為にアレを殺したのに、施設に入れられてしまう。施設でも不条理な事だらけで、出てから就職した先でも酷い仕打ちを受けた上、馬鹿上司に代わり退職させられる。続いて世話された先でも、妙な状況に陥った挙句、得体の知れない何かに殺されそうになる。
何が襲ってきたか明かされぬまま、その後の話になり、詐欺師として働くうちに姉と再会。姉は何かに連れ去られ、そいつを生かすために子供をさらって食わせていた。さらに時が過ぎ、裏社会のフィクサーみたいな男の屋敷で下働きする事になるのだが、そこにいた人形が……。
なんか不条理だらけで救いが無いな。異色だけど、読了後に幸せな気分になれない。乙一系統の気持ち悪い話が大好きな人には堪らないかもしれない。
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