ISBN:4104689033 単行本 荻原 浩 新潮社 2006/09/28 ¥1,890
人生を語るには、早すぎるなんて言わせない。ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした―何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは、ある日死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。その瞬間から、少年の孤独なサバイバルゲームは始まった。「自分」を生きるため、本当に大切なことって何?『明日の記憶』の著者が描く、今ここにいることの奇跡。感動青春大作。17歳の哀しみと温もりが、いま鮮やかに甦る。
第136回直木賞候補作。
父親を持たない少年が主人公。死別や離婚ではなくて、最初から存在しない。他の子供とどこか違うと感じた少年は、シベリアの凍土から発見されたクロマニヨン人“アイスマン”が自分の父親だと思い始める。たった一人のクロマニヨン人として、道具を作り、狩りの練習をする少年。
周囲の登場人物が、腐敗した奴らばかりで、読み進めるとウンザリしてくる。こういう、どこにも行けない閉塞感タップリの物語は、読むと憂鬱な気分に浸れる。不良少年な友人と、小学時代に出会った女の子の存在で、多少は救われる物語になっているものの、やはり重苦しい。どうせなら、本当にクロマニヨン遺伝子を受け継いでいたら良かったのだが……。
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