ISBN:4048737449 単行本 森見 登美彦 角川書店 2006/11/29 ¥1,575
私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ!先輩、奇遇ですねえ!」…「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。

第137回直木賞候補作。

直木賞は、この回もつまらない結果に終わりました。まず選考委員をどうにかしないと駄目だな。

夜の京都を歩く黒髪乙女。その後を追う一人の先輩。だが、数々の障害が待ち構えており、先輩は乙女に追いつく事が出来ない。乙女の後姿に恋する一人の男がいるなどとは露ほども思わない彼女は、お得意の二足歩行ロボのパフォーマンスとともに、夜の京都河原町へと消える。この乙女がまた、酒豪というかウワバミというか、恐ろしいほどの飲みっぷり。行く先々で出会った人々と酒を飲み交わす。最後は、三階建て電車みたいな乗り物で現れる仙人みたいな爺さん相手に、ニセ電気ブランで勝負。

夜の物語は最初の一話だけだが、短編ではなく登場人物そのままで、季節が移り変わる。夏になれば古本市で、無くしてしまった絵本を探す黒髪乙女。そして、出会いを求める先輩は、絵本を賭けて地獄の激辛鍋勝負! 秋になれば、妙なやつらが出没しまくりの学園祭で、ゲリラ的に劇を敢行する人々に担ぎ出されて主役を演じる黒髪乙女。それを追いかける一人の先輩。冬になれば李白風邪という流行り病で倒れる人々に取り残され、一人元気な黒髪乙女。

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