ISBN:4150116237 文庫 浅倉 久志 早川書房 2007/07 ¥987
『たったひとつの冴えたやりかた』の冒頭で紹介された物語、ついに登場……ファン待望の長篇。

久しぶりに疲れる力作だった。読んでも読んでもページが進まない。壮大な背景設定とは逆に、登場人物があまりキャラ立ちしていないので、誰が誰だか混乱して来る。

破壊された星の残骸が奏でる天体ショーを観測するために惑星ダミエムへ降り立った人々。そこは、かつて悪逆非道な人類によって大虐殺が行われた悲劇の星で、今では天使に似たダミエム人は連邦によって保護されている。

物語は24時間なのだが、たった一日で数多くの出来事が起こる。紛れ込んだ異星人による殺人、暗黒世界からの悪意に満ちた攻撃。硬派なSFで重い背景設定、24時間だけの物語なのに、586ページ。これは疲れる。物語ラスト付近の、老いのシーンは著者本人の苦悩を彷彿させて辛い。

またしても失敗。巻末に用語集がついていた。これは先に目を通しておくべき。物語の理解度が全然違ってくると思う。それにしても、今になってティプトリー作品が読めるとは思わなかった。日本翻訳はこの時期になってしまったが、執筆時期は「たったひとつの冴えたやり方」の少し前で、1985年。もうひとつの長編「Up the Wall of the World」も翻訳して貰えないものだろうか?

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