粋で婀娜な、天女湯の女あるじ・おれん23歳。お江戸八丁堀の真ん中にあるこの湯屋には仕掛けがあった。男湯に隠し階段、女湯には隠し戸、どちらも隠し部屋につながっている。おれんは番台に座って男女の仲を取り持つという案配。辻斬り、窃盗、心中、お家騒動。次々と起こる騒動の中、おれんの恋は実るか。
若き主おれんの銭湯には秘密があった。隠し部屋があり、そこで行われるのは……。要は、売春銭湯な訳だが、エロ小説ではない。貧乏だがしたたかに生きる人々の、大江戸人情物語といった感じか。
辻斬り事件が起こったので、これをおれんが華麗に解決するのかと思いきや、ミステリー風にはならず、銭湯での盗難事件も後味の悪い結末になってしまい、どうも中途半端。おれんの過去や、ライバル大黒湯との確執の謎、語られない事も多々あり。迷い込んできた謎の浪人が抱えるお家騒動の顛末も気になる。
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