不連続の世界

2009年1月5日 読書
『月の裏側』の塚崎多聞、再登場!詩情と旅情あふれる、恩田陸版「怖い話」。

独立した五編なのだが、「月の裏側」の塚崎多聞が出てくる。ところで、塚崎多聞ってどんな人だったっけ? 「月の裏側」を読んだのが結構前だったので、もう印象に残ってない……。というか、あの作品に出ていたのなら、もう別の何かに変えられてしまったりするんじゃ!?

物語には直接絡んで来ないのだが、どことなく都市伝説風な「木守り」男がちょっと不気味だったり、聞いた人が死んでしまうという伝染歌風な話に隠された、真実かどうかは確認出来ない意外な結末など、不思議系の話が多い。内容としてはホラー領域にも入っているけど、怖くは無い。

「幻影キネマ」は、呪いのように思えるが、実際のところは思い込みな訳で。この世に存在する呪いが全て思い込みとは言い切れないけど、大抵の呪いは単に確率の問題だと思う。たとえ当事者にとっては呪い以外の何物でも無いとしても。それにしても、この程度で呪われていたら、この物語に出てくる呪いの持ち主より1万と2000倍は呪われている私の立場はどうなる……。

これ、塚崎多聞だけじゃなくて、「中庭の出来事」や「象と耳鳴り」などの他作品からも、登場人物が脇役で出てきてるみたいだが、「中庭の出来事」はもう忘れたし、「象と耳鳴り」は未読……。

連作短編形式だからか、途中からグダグダにならず、上手く纏っている。こっちのほうが「きのうの世界」よりハイレベルなのでは!? なんで「不連続の世界」を直木賞候補にしなかったのか。

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