僕は「片説家」。「小説家」と違って、純粋に「特定の個人に向けて物語を書く」仕事だ。そこにあるのは、創作とはいえないリクエストとマーケティングだけ。いや、正確には「片説家」だった。四年間この仕事をしてきたが、今さっき解雇されたのだ。27歳の誕生日だというのに…。あてもなく過ごしていたところへ、「私のために小説を書いて欲しい」という女性が現れた。奇しくも、失踪しているという彼女の妹は、かつて僕のいた会社が、片説の原稿を渡した相手だという―。

バックベアードって水木さんのアレか!? と思ったら、やはり……。

万人向けではなく、顧客に頼まれて、読み手が一人だけの物語を書くのが片説家である。片説家として四年間も仕事をしてきたのに、二十七歳の誕生日にいきなり解雇。そこから読めない書けない状態に陥るヘタレ青年。

そこから物語に害悪を及ぼすとされるモノと関わったり、殺されそうになったり、普通の人間が行けない図書館に拉致監禁されたりするのだが、訳が判らない。作者のお遊びというか、実験みたいなものが混ぜられまくりで、しかも文章が鼻につく。森見作品も鼻がつくけど、エンタとして完成されているから普通に読める。しかしこれは実験作臭すぎて楽しめない。

瘴気がプンプン臭う怪作ではあるけれども。三島由紀夫賞って、こういう香ばしいのが好み!?

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