エナメルを塗った魂の比重<鏡稜子ときせかえ密室>
2009年1月16日 読書青春は美しくない。私の場合もそうだった。二年B組に現れた転校生。校内で発生した密室。それらを起点として動き出す、不可解な連中。コスプレを通じて自己変革する少女。ぐちゃぐちゃに虐められる少女。人間しか食べられない少女。ドッペルゲンガーに襲われた少女と、その謎を追う使えない男。そして…予言者達。私は連中の巻き起こす渦に呑まれ、時には呑み込んで驀進を続けた。その果てに用意されていたのは、やはりあの馬鹿げた世界。…予言。あの時の私は、それで何を得たのだろうか。ま、別に知った事じゃないけどさ。
キチガイファミリー鏡家シリーズの二作目。フリッカー式で出てきた姉、鏡稜子が出てくるが、物語の中心線におらず、傍観者っぽい立ち位置にいるので、主人公っぽくない。視点も鏡稜子基準ではないし、これって誰が主役なの? まだ鏡稜子が学生なので、フリッカー式よりも昔の話となる。
いきなり出てくるのが人喰いキチガイ。その他にも、ドッペルゲンガー? とか、預言者とか、コスプレ女とか、頭おかしいやつらのオンパレードで、相変わらず狂っている。出血多いし、ゲーム感覚で人が死にまくるし、ノワールというよりも、単にキチガイ小説な感じ。虐めシーンは反吐が出そうになる。思わず★ひとつにしようかと思ってしまった。まあ、最後に立ち位置がガラリと変わるので、不快感も多少は拭えたが……。
やはり、ゲーム感覚で嘘っぽくて、人は死ぬけど何から何までフェアじゃないし、有り得ない設定だらけだし、実は現実じゃなくてヴァーチャル・リアリティでした、とかじゃないと納得は出来ない内容だな。物語というよりは、読むドラッグ。
これも、ゆとりな子が好みそうな内容だな。
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