万物の理論と言われる「超ひも理論」の読み物。光の偏光のように身近な観察や、「電球ではなぜ日焼けしないのか」といった素朴な疑問からスタートして、超ひも理論の基礎にある物理的な考え方をわかりやすく伝える。「端をもつひもが電磁気力を表し、ループ状のひもが重力を表すと考えるのはどうしてなのか」、「なぜ高次元の空間を考える必要があるのか」、「量子力学と一般相対性理論を一緒にしようとすると何が起こるのか」、「最小の長さというものがあるのか」、といった一般の読者が持つ疑問にていねいに答えている。またひもの振動エネルギーを表す数式は、正の整数を全部足しているのに答えは有限でしかもマイナスになるという。この不思議な計算の仕方も紹介している。最先端のトピックとして、超ひも理論の新しい双対性である「ホログラフィック理論」を紹介している。ホログラフィック理論によれば、5次元時空のブラックホールと4次元時空のゲージ理論は同等である。すなわち、ブラックホールを使ってゲージ理論を研究したり、ゲージ理論を使ってブラックホールを研究できるという。

本当に「招待」という感じだった。非常に難解な理論を判りやすく説明してくれているのは良いのだが、それは最初の方だけで、結局、超ひも理論で考えた場合において、何故世界が10次元まで存在しなければならないのかよく判らないままに終わってしまった。

この方面に関する判りやすい書籍がほぼ皆無なので、これだけでも助かる事は確かなのだけど、後半は携わる科学者の現状等に話が移ってしまう。結局、説明に不十分な箇所があるのは、最前線にいる人達でも判らない部分が多すぎるという事なのだろうけど。

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