2009年2月3日 芥川賞・直木賞
昨日、私は拳銃を拾った。これ程美しいものを、他に知らない-。銃に魅せられてゆく青年の心象と運命を、サスペンスあふれる文体で描く。第34回新潮新人賞受賞作、第128回芥川賞候補作。

第128回芥川賞候補作。

偶然手に入れた銃によって、日常が少しずつ狂っていく男の話。ある日、橋の下でピストル自殺したと思われる男の死体を発見してしまった主人公。そこには、男の死体と銃が転がっていた。思わず、その銃を手に入れてしまった男。用心深く、注意を払いながら銃を隠し持つ事で狂っていく日常生活。ある日、死にかけの猫を見て、思わず発砲してしまうのだが、警察に目をつけられてしまう。このままだと破滅するので、以前から考えていた場所に銃を捨ててしまおうと電車に乗るのだが……。

中村文則が描く人間の狂気は、自分の身にも起こりえる身近な感じがある。ちょっと人を殺してみたくてバスジャックしたり、子供の首を切断して飾るようなキティを見ても他人事で、自分がそのようなキティになるとは考えられないが、もしも銃を手にしていたら、些細な諍いで思わず……、という事は有り得そうで怖い。

これも力作なのだが候補作止まり。この回は大道珠貴が受賞しているが、出来は良いのだろうか? 大道作品は、たまたま読んだのが二作続けて地雷だったからまだ未読だが、中村文則よりもダメ作品だったら嫌だなぁ。

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