ISBN:4163264302 単行本 桜庭 一樹 文藝春秋 2008/02/19 ¥1,628
お父さんからは夜の匂いがした。狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂『私の男』。

第138回直木賞受賞作。

やたらとブーイングが多かったこの作品だが、直木賞を受賞してしまったという点を除外すれば、そう悪くもないと思う。やはり、最大の汚点は直木賞を受賞させてしまったという事に尽きると思う。近親相姦も殺人も、もはや小説や現実世界に溢れかえっているし、芥川賞でエロ小説が選ばれてしまう時代だからネタとしては問題無いだろう。

それにしても直木賞はラノベ越境型の女性作家に甘いですな。実は、この人だけでなく今までにも数多くの移籍組が受賞しているのですよ。

第121回直木賞『柔らかな頬』の桐野夏生はMOE文庫スイートハート。第124回直木賞『プラナリア』の山本文緒、第126回直木賞『肩ごしの恋人』の唯川恵、第132回直木賞『対岸の彼女』の角田光代は集英社コバルト文庫。第129回直木賞『星々の舟』の村山由佳はジャンプJノベル。そして今回の桜庭一樹はファミ通文庫。

別に越境してきても、直木賞に相応しい出来栄えで受賞してくれたら問題無い訳であるが、これって前回の『赤朽葉家の伝説』よりもレベルが落ちてるんじゃないか? どっちにしても、未だ受賞させて貰えないベテラン組より落ちるのは明白。

ミステリー畑の作家があれ程不遇なのに、三浦しをんの時といい、今回の桜庭一樹といい、女に採点甘いのは何故だろう……。きっと、選考委員はスケベばかりなんだろうな。

三浦しをんの時にも言ったけど、もう一度言うよ!

桜庭一樹が受賞するなら、森見登美彦、畠中恵、北村薫、白石一文、荻原浩、伊坂幸太郎、恩田陸、恒川光太郎、古川日出男、福井晴敏、馳星周、真保裕一、横山秀夫、諸田玲子あたりにも受賞させないと不味いだろ!?
 
 
本作における選考委員の動向
浅田 次郎 ◎
阿刀田 高 ○
五木 寛之 ○
井上 ひさし ○
北方 謙三 ○
林 真理子 ●
平岩 弓枝 □
宮城谷 昌光 ■
渡辺 淳一 ●
 
 
◎ 積極的な賛成、自発的に推薦、最も高い評価
○ 中立的な賛成、最終的に賛成、2番目に高い評価
□ 消極的な賛成、授賞に異議はなし、やや評価
△ 態度不明、賛成か反対か読み取れず
■ 中立的な反対、賛成・態度不明から最終的に反対、長所も認めるが結果的に反対
● 積極的な反対

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