ISBN:4163268804 単行本 楊 逸 文藝春秋 2008/01 ¥1200
「王愛勤」ことワンちゃんは、名前のとおりの働きもの。女好きの前夫に愛想をつかし、見合いで四国の旦那のもとへ。姑の面倒をみながら、独身男たちを中国へ連れていき、お見合いツアーを仕切るのだ。
第138回芥川賞候補作。
同じ回の「カツラ美容室別室」は、論外に酷かったが、これは結構読ませる。ちょっと日本語として違和感がある部分はあれど、中国と日本の文化の違いが、なかなか新鮮に思えた。
題名にあるワンちゃんは、犬ではなくて王(ワン)ちゃんだった。駄目男で散々苦労して、逃げても逃げても追いかけられ、ついには日本まで逃げて来るのだが、育った息子もまた、母を財布としか思っていないような駄目男に成長していてやるせない。
女は何故か駄目男やDV男に惹かれるという不思議現象があるよね。選択肢が無くてそういうハズレを選んでいるのならともかく、いい人と言われる男がこれだけ余っている現状を見ると、自ら不幸の泥沼に飛び込んでいく自業自得女なんて、傍から見ていても可哀想だとは思えない。
最近の芥川賞系統には珍しく、オナニーや実験作じゃなかったので良かった。自慰行為ではなく、小説として読めるように仕上がっているし、古き良き時代の芥川賞っぽさがあってよい。頼むから、受賞した「乳と卵」は、これより格上であってくれっ!!
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