ISBN:44104731021 単行本 井上 荒野 新潮社 2008/05 ¥1575
夫以外の男に惹かれることはないと思っていた。彼が島にやってくるまでは……。静かな島で、夫と穏やかで幸福な日々を送るセイの前に、ある日、一人の男が現れる。夫を深く愛していながら、どうしようもなく惹かれてゆくセイ。やがて二人は、これ以上は進めない場所へと向かってゆく。「切羽」とはそれ以上先へは進めない場所のこと。宿命の出会いに揺れる女と男を、緻密な筆に描ききった美しい切なさに満ちた恋愛小説。

第139回直木賞受賞作。

井上荒野はノーマークだったが、念のために図書館の予約を入れておいて大正解。今見たら予約殺到でもう読めない。受賞日前日に押さえたので、順番待ちしなくて良かった私は勝ち組である。井上荒野って女だったんだ。受賞するまで知らなかった。

そう悪くも無かった。単に、読み手に恋愛小説適正が欠如しているので素直に楽しめないだけである。文章だけ上手くてツマラナイという訳でもないので、ある程度齢を重ねた妙齢女性辺りには受ける物語なんじゃないでしょうかね!? まあ、恋愛小説が面白いと思えない私にとっては、単にネタにするため読み流すレベル。不倫の物語かと思ったが、乱れて泥沼化しているのは主人公じゃなくて別の女性。主人公本人は夫ではない別の男に惹かれつつも淡々としたままなので、ちょっと予想外。

それにしても、今回は伊坂幸太郎が「ゴールデンスランバー」でのノミネートを、執筆に専念したいからという理由で辞退した事が大きい。選考委員はおかしいので、「ゴールデンスランバー」を落としておいて「切羽へ」を受賞させた可能性大である。きっと、「ゴールデンスランバー」が落ちていたら貶しまくっていたと思う。

同じ直木賞なのに、ジャンルで難易度が違いすぎるのは如何なものか。恋愛小説だとそこそこで獲れるのに、ミステリーは完璧じゃないと貰えないからなぁ。女性が恋愛小説で狙うのと、男性がミステリーで狙うのとでは、同じ直木賞でも東大理科2類と東大理科3類くらいには難易度が違う。不公平である。もう、直木賞恋愛2類とか直木賞ミステリー3類とかに分類すれば?(笑)。

悪くはないかもしれないけど、これで受賞出来るなら、森見登美彦、畠中恵、北村薫、白石一文、荻原浩、伊坂幸太郎、恩田陸、恒川光太郎、古川日出男、福井晴敏、馳星周、真保裕一、横山秀夫、諸田玲子あたりにも受賞させないと……。今回だけで見ても「千両花嫁」が落ちて、これが受賞というのも納得出来ない部分が残る。

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