戦争を始めるのは誰か(講談社現代新書1184)
2009年3月1日 読書戦争権限は大統領にあるのか、議会にあるのか。湾岸戦争を目前に控え、議会は動き出す。もはや共和党も民主党もない。戦争か否かの1票を自らの良心に従い、投じるのだ。
少し古いので、具体的な事例が湾岸戦争までしか入っていないけど、ブッシュ親子みたいな戦争好きのキティ達が戦争を始めるんだろ? というような短絡的内容ではなくて、アメリカの成り立ちから独立戦争から、他国へ難癖ふっかけての領土拡大、南北戦争という内戦、そして世界大戦まで、この国がどうやって戦争を始めたのかを確認していく。
かなり強引な手法で、帝国主義的な力技も混じっているけれども、暴走しがちな大統領と、民主主義的な手続きに拘る議会のせめぎ合いもあり、少し間違えばただの全体主義になりそうなところ、必死で民主主義を守ろうとするこのバランス感覚はやはり見事だと感心する。戦争に反対する議員も堂々としており、どこかの島国みたいに非国民扱いされたりはしない。戦争が始まれば、自分達は安全なところで小市民ばかり死地へ追いやるどこかの島国とも違い、公約を掲げて議会を休み、戦地へ赴く者も多い。
それにしても、湾岸戦争に関しては、やはり納得が行かない部分が残る。ユダヤ系議員は、かつてファシズムに対抗しなかったからナチや日本の増長を産んだかのように発言し、フセインを叩く事を正当化しているが、クウェートを占領したフセインが悪ならば、パレスチナを占領するイスラエルも同罪なのではないのか? イラクだけでなく、パレスチナを占領するイスラエルや、北部アイルランドを占領するイギリス、チベットを占領する中華人民共和国も空爆しなければ話がおかしいと思うぞ。本当にユダヤ人は自分の痛みにだけ敏感で嫌らしい。
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