気ままな大学生と、強気な年上の女。かつての無邪気な恋人たちは、気づけばそれぞれに、取り返しのつかない喪失の中にいた。すべてを失い、行き場をなくした二人が見つけた、ふるえるような愛。生きること、愛することの、激しい痛み。そして官能的なまでの喜び―。絶望の果てに響く、愛しい愚か者たちの声を鮮烈に描き出す、待望の恋愛長篇。
まさしく題名そのもの、主人公は「ばかもの」だった。この作家も、どうでも良い感じでちょっと下品な小説が多いけど、これは絲山秋子の中では力作。
主人公は年上の女に捕まって、遊ばれた挙句に結婚するからという理由で公園で縛られてしまい、恥ずかしい格好で放置プレイ。その後、大学の女友達がディトレーダーから宗教にはまって危ない方向へ行ってしまったり、ご都合主義的にモテ期に入ったり、友人の婚約者の友達が美人で、付き合う事になったりと、人生ウハウハ状態。
それなのに、アル中になって、会社を休み続けて自主退職、記憶が飛んでいる間に暴力を振るいまくって美人な彼女にも愛想を尽かされ、家族にも疎ましがられ、友人は失い、自分で勝手に堕ちていく。
もう、完璧に同情の余地無し! こういうヘタレ人間なうんこ野郎はアルコールで死ねば良いと思う。何ら落ち度が無いのに、地獄のような人生を送っている人に謝れ! この主人公は全然不幸じゃない。勝手に自分で転んでいるだけだ。かなりムカツクから本当の不幸を味わってもらいたいところである。
結局、放置プレイで去って行った年上の女と再会するのだが、相手も不幸な人生に転落しており、なんだかやるせない。主人公は100%自分が悪いのだけど、年上女は事故だからね。
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