現代宇宙論の最大の研究テーマになっているダークマターとダークエネルギーの正体を追い求める物語。銀河の回転速度の観測から、宇宙は望遠鏡では見えない物質に満ちているらしいことが数十年も前から知られている。それはダークマターと呼ばれ、世界中の天文学者と物理学者がその正体を解明しようと努めてきた。ダークマターを検出しようとして世界中でさまざまな実験施設が作られ、検出まであと一歩のところまで来ていると考えられている。本書はダークマターの候補として有望なものを一つずつ、理論的な面から吟味してゆく。理論的な検討の結果、ダークマターはまだ発見されていない新しい粒子であることが明らかにされる。余剰次元を動き回る粒子などが有力な候補の一つとされる。もしそうだとすればダークマターが物質に見えているのは実は錯覚であり、本当は高次元の幾何のために隠されてしまう粒子の運動である。ダークエネルギーの発見はもっと最近のことで、宇宙の膨張速度が加速しているという観測結果に基づいている。宇宙の何もない空間にもエネルギーがあり、それはアインシュタインの重力方程式の宇宙項にあたると考えられている。ダークエネルギーがなぜ今のような大きさなのかという問題が取り上げられ、超ひも理論の真空の種類や人間原理といった最近のアイデアを検討している。理論的な天文学の最前線の雰囲気を楽しめる一冊だ。世界天文年2009日本委員会の公認書籍でもある。

宇宙というとてつもなく大きいものを理解するために、とてつもなく小さな正体不明の何かに焦点を絞る。一見、何も無い空間に思える場所も、実際には完全な真空や虚無状態ではなく、何らかの物質なりエネルギーが存在している。むしろ、星々を形成している物質のほうが少数派で、大部分はダークマターやダークエネルギーという何だかよく分からないもので出来ているのだ。

しかし、現段階ではそれが小さすぎて見えない粒子なのか、超対称性パートナー粒子なのか、超ひも理論のストリングなのか、知られている四つの力以外の何かなのか、全く分かっていないのが現状である。

それにしても、宇宙空間が広がっても、その正体不明の何かは密度が下がらないというのだから、これはもう宇宙の外側から入り込んでくるとしか想像出来ないのだけど……。外側にあるのが別宇宙なのか、余剰次元なのか、アザトースさんのお家なのかは謎だけど。

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