竜岩石とただならぬ娘
2009年3月21日 読書大富豪・李大人の屋敷で働くことになった少年・李衛は、白家へ大事な書物を借りてくるというお遣いに出る。雨が降っているわけでもないのに、着ている物が濡れて重くなる。路地には蟹の鋏で首を挟まれた猫、人気のない白家では壁から一抱えもある魚が泳ぎ出て来て仰天。果たしてその魚は、白家のお嬢様?不思議な話の数々、中国志怪風の“怪しい話”20話。第2回『幽』怪談文学賞短編部門優秀賞作品の文庫化。
メディアファクトリーだから、ラノベに毛が生えた程度だろうと思っていたら、意外にハイレベルだった。中華風の妖しげな怪談が盛り沢山。中華だけでなく、朝鮮、インド、日本と思われる部分まで広範囲にカバーしている。ただし、不条理で不幸な結末に至る短編が多く、オチも弱いのが惜しい。読み終えて「だから何なの?」とか、「えっ!? こんなところで終わり」と思う話が結構あった。もう少しサプライズが欲しかった。文章力もある事だし、次は中篇以上でやってくれないかなぁ。
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