ほめるな (講談社現代新書1777)
2009年3月23日 読書「ほめる教育」がなぜダメかを指摘し、コミュニケーション重視のインタラクティヴ型支援を提唱する。
出版点数が増大しても、それ相応の書き手が比例して増える訳ではないので、近年の新書はレベルが下がり気味なのだが、それにしてもこれは酷い。洋泉社新書クオリティとは、講談社新書も堕ちたものだ。
ほめる教育の弊害について述べたものかと思いきや、出してくる例が自分に都合の良い極端なものばかりで全く公平性に欠ける。いくらなんでも、猫かわいがりに褒めるのは、人をスポイルしてしまうから駄目だろう。そこまで極端な例を持ち出すからには、ほめない方には何をしても褒めてくれない頑固職人みたいな親父を出してこないと……。
ほめる教育で駄目な子が増えたみたいな事を書いているが、駄目な子を増やしたのはゆとり教育ですから! 大学も駄目な学生が多くなったかのように書いているが、これも少子化により、本来は合格出来なかった低レベルの人間が入れるようになっただけの話。プロ直前レベルで壁にぶちあたった人の事例では、それに至るまでのほめる教育を全否定。もう一段上がるためには、従来のアプローチを変更しなければならない場合があるのはよくある話で、いきなり今までの方法を全否定とは酷すぎる。ならば、その人はほめられずにそこまで到達出来たのか問いたい。
自分に都合の良い極論ばかり持ち出して、ほめるのは良くないと貶しつつ、じゃあどうすれば良いのかという点については中途半端なインタラクティブ型支援でお茶を濁すばかり。結局、自分がほめられない子だったからいじけているだけとしか思えない。気に入らない教授に対する個人攻撃も見苦しい。
このようなトンデモ本を何の批判もなく受け入れてしまう読者こそが、ほめる教育の弊害そのもの。この皮肉な状況に対しては、突っ込むべきなのか笑うべきなのか(笑)。
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