怒濤のように突っ走るバイオの最先端で、いま何が起こっているのか。「Web現代」連載時より話題騒然のノンフィクションが、大幅な加筆・修正を経て、新書で登場。ゲノム研究の最先端を斬る、衝撃のリポート! 金髪、ブルーの瞳、背が高く頭もいい……望どおりの子供がオーダーメイドで手に入る!?ゲノム解読が終了し、ますます高度化する遺伝子や細胞の操作技術は、ついに人体の改変を可能にしつつある。遺伝子導入、異種移植、臓器創出、再生工学、万能細胞、クローン人間……、続々と現実化する技術はいったいどこまで進展するのか。それらをどこまで使うのか、私たち1人1人の決断が、人類の未来を左右する。
遺伝子改変により、かなりいろいろな事が出来るようになって来た。しかし、科学が進歩すれば、そこには必ず光と影があるもの。治らなかった病気に対する療法が出てくるのは良い事だが、保険会社による選別、社会による優生学的な選別、遺伝子改変による格差社会という影の部分も孕んでいるという事は認識しておかなければならないだろう。
欧米とは異なり、日本で出生前診断が普及していない部分については疑問。遺伝子の欠陥を持って生まれてしまった人を差別する気は無いけれども、五体満足で高学歴な人すら、少し転んだらもう復活戦が絶望的なこの日本において、産まれる前からハンディを持つという事が、どれだけ大変かという事を考えたら、自分なら障害のある子供は持てない。経済的にも耐えられないし。「出生前診断はするな、その代わり、ハンディを持っていた場合は社会として、国家として責任を持つ」というのならば話は分かるけど。結局、何かあった場合は個人ですべて背負わされる訳だから。
今はまだ、負け組に産まれても個人の凄まじいまでの努力で何とかなりそうな社会であるけれども、今後は遺伝子改変技術が進んで、遺伝子貴族みたいな奴らが支配する世界になるんだろうなぁ。基本性能が違いすぎたら、絶対とは言わないまでも、ほぼ勝てなくなるだろうし。平等じゃないからと禁止しても、人類という愚かな種族は、手にしたものは必ず使いたがるという性質を持っているのだから……。
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