動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 (講談社現代新書1575)
2009年4月25日 読書オタク系文化を批評する意義――オタク系文化はJポップのような国民的広がりをもつ文化ではないが、決してマイナーな文化でもない。オタク系の消費者は、きわめて活動的な層に限っても、数十万の規模を下げることはないと思われる。そしてさらに付け加えれば、オタク系文化はもはや日本だけの現象でもない。オタクたちが作り上げたコミックやアニメ、ゲームなどの独特の世界は、アジア地域のサブカルチャーに深い影響を与えている。最後にもうひとつ加えれば、日本のネット文化の基礎はオタクたちによって築かれている。したがって、いま、日本文化の現状についてまじめに考えようとするならば、オタク系文化の検討は避けて通ることができない。
「ポストモダン」なんて言葉が題名に入っているので、随分とアカデミックな内容だと惑わされそうだが、サブタイトルは「オタクから見た日本社会」である。つまり、真面目に分析してみても、題材がサブカルチャーな訳で……。
東浩紀の分析が適切か否かはともかく、従来の物語と、ライトノベルに見られるような新しい物語の構造が異なるという点については興味深い。「動物化」なんて書かれると、オタクを馬鹿にしてるのかと思ってしまいそうだが、これは作者独自の考えでなく、アレクサンドル・コジェーヴから引用しているだけである。
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