離島の女と男をめぐる生と死と再生の物語。長澤まさみ主演、沖縄・八重山諸島を舞台にした映画「群青」の原作小説。愛する女のために命を懸けて海に潜る男たちの熱く純粋な思い、そして最愛の人を失った女の絶望と再生を鮮やかかつ官能的に描いた恋愛小説。
舞台は八重山諸島にある(という設定の)南風原島。石垣島から高速船でさらに南へ。実際には、そんな島は存在しない訳だが、設定にソックリな島に波照間島というのがあり、これは実在する。という訳で、これは波照間の話なのだろうけど、人口600人弱の小さな島なので、そのまま使うには何かと不都合だったのかなぁと思いつつ……。
島にやって来たひとりの美女。妙齢というにも微妙な年齢になっていたが、過疎の島では十分に若い娘として話題となる。実は、病気療養のため、島を訪れた売れっ子ピアニストなのだが、患っているのは死病であった。
婚約者を振り切りつつ、島の漁師とデキてしまうが、病が進行してしまい、娘を産み落としてアッサリと死亡フラグ確定。という訳で、「紺碧」→「三原色」→「群青」と続くのだが、「三原色」からは主人公交代で、娘の物語となる。
同年代は僅か三人。娘と二人の少年と来れば、この後の展開はもう、あだち充の「タッチ」みたいになる事が容易に推測される訳で。ああ、やっぱりそうなるか(笑)。しかし、母子揃って不幸のコンボ状態で、憂鬱な物語である。親の才能を引き継いだ天才少女の物語とかなら、もっと楽しめたのに。
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