あなたがその恨みを手放さぬ限り…蒼白い月の光は、時間を超えたいくつもの魂の旅路を優しく照らし出す。幻灯のように浮かび上がる、静かな一夜の物語。とうきち自身気づかずにいた前世の無念は、律儀な蟹の群れと共に月夜に昇華される。幻想的絵本。
名主の馬鹿息子が、沢蟹を捕まえて脚をむしり取っているのを見て、蟹を奪って逃がした男。しかし、馬鹿親の名主に怒られ、「蟹を返せないなら牛を貰う」と、牛を奪われてしまう。
牛がいなくなっても、自分一人だけなら何とかなると思っていたら、いきなり押しかけ嫁が! しかし、横歩きしているので、すぐに蟹の恩返しだとバレてしまう。鶴と違って、相手が蟹だと、やはり微妙だよなぁ(笑)。
蟹の大軍団は、牛を取り返そうと名主の家に押し寄せるのだが、ここで前世の因縁が明らかとなる。恨みを晴らして一件落着とならない手堅い結末なのが、ちょっと好みに合わなかった。まんが日本昔話に時々混ざっている、暗い物語みたいだった。
コメント