住人を失ったあなたの家は、その時点から腐りはじめ、100年後には煙突のレンガなどを除く屋根や壁のほとんどは崩れ落ちるだろう。高層ビルを擁する大都市もまた、地下への浸水から崩壊し、長くは持たない。人類なきあとにはどんな動物たちが地上を闊歩するのか。犬はもはや人間なくしては生きられないが、猫は小動物を狩りながら自由を満喫するだろう。アフリカで人間の後釜に座るのはヒヒかもしれない。人間が残したいと願う文化的生産物は、銅像などを除けば、ほとんどが数万年のうちに跡形もなく消え去るが、プラスチック粒子、放射性物質などはその後も地球の生態に大きな影響を及ぼし続ける。また、テレビ番組の電波は宇宙空間を永遠にさまよい続け、どこかの知的生命体の退屈を紛らせるかもしれない…。ニューヨークからパナマ運河、朝鮮半島まで世界中をフィールドに、最新の科学的知見にもとづき、人間の営みを多角的に見つめなおして描き上げる驚愕の未来予測。
ある日、人類が姿を消してしまったら、残された物は一体どうなってしまうのかというシミュレーションである。この仮定自体が荒唐無稽で、致死性病原体なり、遺伝による種の終焉なりの具体例は示されていない。純粋に、もしも人類が急にいなくなったら? という、ほぼ有り得ない仮定の話である。
都市は意外に脆く、すぐに崩壊が始まるらしい。一方、人類が汚染した化学物質や放射能、新素材といったものは、物によっては何十億年も影響を与え続ける。
全人類だけが急にいなくなるという状況は考え難いのだが、一部の地域においては、人類がいなくなった地域というものも存在するので、条件設定はともかく、実際に何が起こるのかという点については、単なる空想だけではない。内戦で分断されたキプロスの境界線や、朝鮮半島の休戦ライン等が、いきなり人類がいなくなった場所の、興味深い具体例ととなっている。
それにしても、人類がいなくなった方が世界が、全てにおいて平和に見えるのがやるせない。ただ一種類が絶滅するだけで、数多くの動植物が助かり、楽園が再来するのである。
コメント
クリーンでスマートな方法ですよねぇ。
どうやって「選別」するのかってのも、結構、難しいような^_^;
無論、発症した段階で語尾が「にゃ」になって(以下略)