しんやは小さい頃に亡くなった父親と同じペンキ屋になった。お客のもっとも望む色を探し出し、人々を幸せにするペンキ屋に…。一人の職人の一生を、異国的なタッチの絵と静かな言葉で奏でるファンタジックな本。
絵本なのに、またしても大人味。ペンキやの息子として生まれ、ペンキやになった男の人生。欧州で他界した父の墓を探して船に乗っている時に、謎の女性にユトリロの白で船を塗るように頼まれるのだが……。
知らない間に仕上がっていたユトリロの白。そして待ち受けていたのが、父と同じ運命。結婚して子供も産まれたので、満たされた人生だったのかもしれないが、この結末はハッピーエンドとして素直に受け入れられない。
結局、現世でどんなに足掻いたところで、上方世界で定められた運命からは逃れられないという事なんかね? あの不気味な女は、死神か?
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