祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう―。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と思惑を抱え、人々は宵山へと迷い込んでいくが…!?くるくるとまわり続けるこの夜を抜け出すことは、できるのか。
連作形式になっており、6編でそれぞれ主人公が変わるのだが、京都の祇園祭宵山を舞台にしており、視点を変えて各話が繋がっている。この世界のモノでは無い何かも絡んで来るところは、やはり森見ワールドらしい。
姉とはぐれ、何かに連れ去られそうになる妹。
友人乙川の大仕掛けな悪戯に翻弄される男。
大仕掛けの舞台裏。
従妹が神隠しにあい、叔父も何処かへ行ってしまうのを止められい女。
何度も繰り返される宵山の閉鎖世界に囚われた男。
妹を見失い、自分も普通とは異なる場所へ迷い込む姉。
各話の並び具合が神! 非日常的とは言っても現実世界の一部に過ぎない祇園祭宵山の夜と、宵山世界がかさなり、不思議な雰囲気を醸し出す。宵山世界に囚われてしまい、何度も何度も宵山当日の朝を迎えてしまう男のタイムループ系も良い。
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