小学校六年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても「変わってる」と言う。父が会社員だったことはない。物心ついたときからたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、ほかの家はそうではないらしいことを知った。父はどうやら国が嫌いらしい。むかし、過激派とかいうのをやっていて、税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などないとかよく言っている。家族でどこかの南の島に移住する計画を立てているようなのだが…。型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、長編大傑作。
破天荒な父を持つ家族が沖縄に移住! ←この程度の情報しか知らないまま読んだので、父が元過激派で世間とズレすぎていてあせった。
沖縄は沖縄でも、本島よりもさらに向こう、西表島まで行ってしまうのだが、ページの半分以上は東京で国家権力と戦う第一部。年金も保険も義務教育も全否定。過激派の英雄にして、米軍の戦闘機を焼いた疑いまであり、キューバのカストロ議長とは知り合いだという噂。あまりにも強烈すぎるが、こういう人間は好きだな。自分の父親だったら困るけど。
居候していたおじさんが内ゲバで敵対する幹部を殺害した事で、家主に契約更新を拒否され、あっと言う間に家財道具を売り払って西表へ転居。しかし借りたのは廃村になっている場所で、リゾートホテル建設計画がある私有地を不法占拠した形になってしまう。
波乱万丈な家族であるが、西表へ行った後のほうが幸せそうに見える。東京では袂を分かった親族との格差に悩んだり、不良(というよりもはや犯罪者中学生)に絡まれて酷い目に遭ったりしていたのだが、西表は悪人も見当たらず、伸び伸びとしたジャングル生活!? 開発業者とのバトルはありますが。
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