夏期限定トロピカルパフェ事件
2009年8月14日 読書小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。
連作短編っぽくなっていた前作と異なり、今回は長編になっている。しかし、「シャルロットだけはぼくのもの」と「シェイク・ハーフ」は先に短編として発表されている。
単発で発表されたものを含んで長編化してしまう力量が見事。単に、長編に突っ込んだという形ではなく、短編だけでも本格なのに、重ねがけでより大きなミステリーへと繋がっている辺り、勢いだけで書いているプロには無理な技である。最初から上手く繋がるように、プロットを練り上げていたのかね。
春→夏だから、すぐ後の話かと思っていたのだが、季節が一巡しているのは意外だった。このシリーズは、あまり長く続ける気が無いのかもしれないが、このペースだと冬期限定な頃には大学生?
夏休みに小佐内さんに連れまわされ、ご近所スイーツを制覇しなければならなくなる小鳩君。限りなくデートに近いのに、フラグが立っているんだか、潰しているんだか分らないもどかしさ。
後半は誘拐事件が発生してしまうので、日常ミステリーじゃなくなってしまう。しかし、さすが小佐内さん、仕掛けたトラップが強烈だ。やる事が策士すぎる(笑)。もはや犯罪域だけど、否定する気にはなれない。
日本の法律は悪党に甘く優しく出来ているから、自分の身を守るにはこれくらいやらないとね(汗)!? 但し、どれだけ法が無力であっても、被害者になったら泣き寝入りして耐えるというのが正しい? 小市民のあり方だから、大きく逸脱しているけど。
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