7月のある蒸し暑い午後、営業成績の締め切り日を迎え色めき立つ生命保険会社から、差し入れ買い出しのためにOLが東京駅に向かって走りだす。ここを物語の出発点として、ミュージカルのオーディションを受ける母娘、俳句仲間とのオフ会のため初めて上京した老人、ミステリーの会の幹事長のポストを推理合戦によって決めようとする学生たち、従妹の協力のもと別れ話を成功させようともくろむ青年実業家、訪日中のホラー映画監督など、さまざまな人間が複雑に絡みあうなかで、物語は日本中を揺るがす大事件へと発展していく。
登場人物は27人+α。かなり多いので混乱しそうだが、上手く纏っているので大丈夫。一見バラバラで関係のない人物が、一気に繋がってドミノ倒し状態になるのは秀逸! 最初は良いけど、後半グダグダで煙に巻く事が多い恩田陸だが、これは結末をボヤかさずにジェットコースターの如くエンディングまで引っ張ってくれる。
まだ全部読みきってないので、何番とは言えないけれども、全作品で五指には入ると思う。恩田陸の中ではかなりの良作だった。
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