社内女性のほめ言葉に有頂天になる中年課長はじめ、おっちょこちょいだけど愛すべき人たちの破天荒なユーモアワールド。
ちょいワルとか、ちょいカワとか、その辺にいそうな人々の喜怒哀楽いろいろ。荻原浩の小説は、際立った夢や希望はないけれども、それほど絶望も含まれていないので読後感はそう悪くない。出てくる人々もどこか憎めない。いじめ相談室なのに、所属している上司が率先して職場いじめを始める話だけは、「馬鹿上司とデモシカ学校教師は逝って良し!」と思ったけど。
犬猫語完全翻訳機の話は、製品自体は非常に完成度が高いのに、ペットの言葉を高精度で翻訳してしまうが故に飼い主に受けず、ハズしてしまうのが笑える。結局、人間は都合の良い言葉だけを聞きたい、我が侭で愚かな生命体なんですな。犬猫語の機械がコケて、次に出した最新型携帯電話でも、完成度が高すぎてハズすのが笑える。
最後の「くたばれ、タイガース」は、娘を貰いに来た男が阪神ファンで、娘の父が巨人ファンだったために、テレビを見ながらバトルになるのが笑える。「巨人が負けてるから」という理由で娘を嫁にやらんと駄々をこねる父親に全米が笑った。
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