肩を“ポンと叩いただけ”で教師が階段から落ち、女子高生のフィンは高校を退学になった。父は体調を崩し、愛人に看病されている。大学生の彼氏とは大喧嘩の末別れたばかり。今どきの若者の風俗や生態を淡々とたタッチで描きながら、心の奥底でふるえる悲しみをとらえた真摯で切なく、心やさしい作品集。

第121回芥川賞候補作。

糞みたいな理由で高校を退学になって、普通なら人生破滅寸前なのに、妙に冷めている。何でかと思ったら、金持ちの娘だから危機意識が弱いのか。金があれば、学歴が無くても怖くないしね(笑)。

母は帰ってこず、父は病気で愛人に看病されている。馬鹿っぽい大学生の彼氏とは別れたという設定なのに、別荘まで追いかけて来る。冷たくあしらいつつ、出かけて別の男と知り合う尻の軽さ。シンクロも共感も全く出来ないが、昨今の自慰作品群と比べたら、芥川賞絡みにしては悪くない。


後半に収録されている「秘密の熱帯魚」のほうが長いのだが、ホモ絡みな理由で離婚に至った女性マンガ家の話。知り合いの女性は百合属性なのか、やたらとキスしたがる。アシスタントが無断で欠勤し、そのまま連絡が取れなくなるのだが、この後の展開がなかなかヘビー。そんな酷い結末にする必要あったのか? ホモとキチガイで、ちょっと憂鬱な気分になれた。

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