マーブル・アーチの風
2009年9月1日 SF特集毎年恒例の大会(カンファレンス)に参加するため、20年ぶりにロンドンを訪れたトムとキャスの夫妻。ロンドン地下鉄道をこよなく愛するトムは、旧友との再会を楽しみに地下鉄で大会会場へと向かうが、駅の構内で突然の爆風に襲われる。爆弾テロか毒ガスかと瞬間的に思うが、風は一瞬にしてやんでしまう。どうやら周囲の誰もこの風を感じなかったらしい。ようやく到着した会場では、病気や離婚といった話題ばかりを友人たちが口にしているのを耳にする。そして、ホテルに帰るため、地下鉄に戻ったトムは、ふたたび暴力的な“風”に見舞われるのだった。20年前と明らかになにかが変わってしまったロンドンで、トムは“風”の謎を追って地下鉄を巡る…。やがて誰にでも訪れる人生のその時を、迫真の筆致で描いた表題作(ヒューゴー賞受賞)。ベヴァリーヒルズのセレブを相手に、いんちきチャネリングで荒稼ぎする女霊媒師に、ある人物の霊が憑依する。その人物とは、オカルト詐欺やニセ科学を批判しつづけた実在のジャーナリスト、H・L・メンケンその人だった…。サイキック商売を題材に描く傑作ユーモア中篇「インサイダー疑惑」(ヒューゴー賞受賞)。クリスマスが近づくなか、街では少しだけおかしなこと(みんなが動く歩道の片側をきちんと空けて立つ、帽子をかぶる人が急に増えた)が起こり始める…。侵略SFコメディ「ニュースレター」(ローカス賞受賞)。ユーモア、コメディからシリアス短篇まで、SF界を代表する小説の達人の傑作5篇を厳選。物語を読む愉しみにあふれた日本オリジナル作品集。
コニー・ウィリス初体験。本当は「犬は勘定に入れません」を読みかけたのだけど、ページ数が多すぎて、読み終える前に返却期限が来てしまった(汗)。シリーズ物なのに読む順番間違えたりして失敗する事があるので、なるべく出版順か執筆順で読む事にしているのだがこれは短編集なので大丈夫だろうと思って借りてきた。
五編入っているのだけど、面白いかと問われれば、微妙だなぁ。やはり、アメリカ人のユーモアはよく判らんよ。最初の「白亜紀後期にて」なんて、最後の解説を読むまでどこを楽しめば良いのか理解不能だったし。
宇宙人侵略物? っぽい「ニュースレター」は、人類がどんどん善良になって行くから、どちらが正しいのか判らなくなってくるし、本当に侵略されているのかどうかも曖昧な感じ。「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」は、クリスマス業者の駆け引きかと思いきや、オチはベタ甘系か。表題作の「マーブル・アーチの風」は、もう少し爽やかな風が吹いてくるのかと思ったら……。
ラストの「インサイダー疑惑」が一番楽しめたかも。詐欺じみたスピリチュアル商法で馬鹿から金を巻き上げるチャネラーの嘘を暴こうとする男の戦いなのだが、チャネラーに憑依しているのがどうやら本物らしく、困った事になる。
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