私は、なにをしているんだろう。どうしたら「私」でいられるんだろう?カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靱な魂。自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは―。記念碑的青春小説。
同じ女子高へ通う那由多、淑子、翠という三人の少女が出てくる。三編あるのだが、連作になっていて、時系列は一話の終わりから二話へ、二話の終わりから三話へと繋がっている。話ごとに主人公が入れ替わるという手法が面白い。
この年代特有の閉塞感みたいなものはよく描かれていると思うのだが、特に強烈なトラウマがあるでもなく、言葉にならないもやもやとした不満みたいなものが渦巻いているのには全くシンクロ出来ない。
花園の中に囚われている気がするのかもしれないけれども、檻の中はある意味平和ですからね! 名門校へ通わしてもらえる程度の家庭環境を持ち、それなりの境遇で生かされておいて、これでも人生を謳歌出来ないならバチが当たると思う。
コメント