森で拾ったその犬には、なにか知性のようなものが、意志に似たものが感じられた。孤独な中年男のトラヴィスは犬に〈アインシュタイン〉と名を与え、半信半疑の対話を試みる。徐々にわかってくる信じがたい事実。それにしても、犬は何を警戒しているのだろう。繁みの陰に、暗闇の奥に、なにか恐るべき“もの”がひそんでいるのか。
トラヴィスが森で出会ったゴールデンレトリーヴァーは、ただの犬ではなく、高度な知性を持つ超能力犬だった。犬を取り戻そうと追ってくる人間とは別に、悪意と憎しみだけで追ってくる正体不明のアウトサイダー。
クーンツにしては珍しく、最後まで正体不明のまま引っ張らない。途中でアウトサイダーが何なのかも分かるのだが、ただの邪悪な化け物ではなく、少し哀れな存在に見えてくる。しかし、相互理解は無理なので、対決する事を余儀なくされる訳なのだが……。
読んでいる途中で下巻が長期間、行方不明になってしまい、上巻の内容をかなり忘れてしまったのは内緒……。
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