多摩川べりのありふれた町の学習塾は“キタナラ塾”の愛称で子供たちに人気だ。北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に「犬男」の太郎さんが押しかけてきて奇妙な二人の生活が始まった。都市の中に隠された民話的世界を新しい視点でとらえた芥川賞受賞の表題作と「ペルソナ」の二編を収録。

第107回芥川賞候補作「ペルソナ」
第108回芥川賞受賞作「犬婿入り」収録。


「ペルソナ」は、弟と共にドイツへ留学している女性の日常。会話が会話文ではなく、地の文に埋没しているのが特徴的。とりたてて何も起こらない海外での日常生活なのだが、文章はこちらのほうが読みやすい気がした。この頃の芥川賞は妙な方向へ走っていないので、普通に物語として読める。

「犬婿入り」のほうが、内容としては面白いのだが、一文が長いのが引っかかる。何で芥川賞系統の人は、読点を使わずに長い文章を書きたがるのか。

題名からイメージして、八犬伝的な昔話なのかと思ったら全然違った。キタムラ塾を経営する北村みつこのところに、太郎と名乗る男が勝手に住み着き、ご近所の噂になるというもの。ラストが少し意味不明系。

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