ある日のこと、ベルリンの敏腕弁護士である45歳のシュテルンは、ガールフレンドの看護師カリーナから、工場の跡地に呼び出された。彼女と共に現れた10歳の少年ジーモンは、自分がその場所で15年前に人を殺したのだと話すのだった。一笑に付すシュテルン、しかし地下室からは、彼の証言どおりに白骨死体が発見される。その前世殺人の証言は、死に至る病に苦しむ孤独なジーモンのために、カリーナが善意で受けさせた前世療法以後始まっていたのだ。新たな前世殺人を語り始めるジーモン、そしてシュテルンの回りで次々と起こり始める奇怪な出来事、逃げられない渦に巻き込まれる彼らの運命やいかに…他では味わえない、恐怖と感動のサイコスリラー。
名前につられて借りたのだが、オカルト的な書籍ではなくて、サイコスリラー小説だった。脳腫瘍で死にかけている十歳の少年が、主人公となる中年弁護士に助けを求めてくるのだが、彼は人を殺してしまったと主張するのである。
殺したの十五年前!! 少年はまだ十歳なので、十五年前に人を殺す事は不可能である。しかし、少年が埋めたと証言する場所からは本当に骸骨が出てしまう。しかも、この一件だけではなく、他にもたくさん殺していると主張し始めるのだった。
警察には疑われ、少年には助けを求められ、さらには謎の何者かに脅迫される羽目に陥る。真相は最後になるまで明かされないので、一気読みする事になるだろう。これは面白い! ネタばれすると、ラストのサプライズが無くなってしまうので、これ以上は書けない。
この『前世療法』が、セバスチャン・フィツェックの三作目。一作目の『治療島』と二作目の『ラジオ・キラー』も読みたくなってきた。
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