ニーチェって何?(洋泉社新書006)
2009年10月20日 読書ニヒリズム、神の死、永劫回帰など、誰もがそれが重要だといい、自分もどこかで聞いたことのある言葉を頼りにして、それをなぞっていく、そんな読み方はもう止めるべきだ。ニーチェその人が何と格闘していたのかをわれわれは知らない、われわれはいかにニーチェを知らずして彼を読んできたか―、ニーチェへの旅の出発点はそれを自覚することにある。世界のつるつるした平面に傷をつけ、堅牢に見えた建物の基礎を掘り崩してしまったニーチェ。彼が世界に傷を負わせてしまった、まさにその場所に赴くこと、そうすれば彼はいまなお読まれうる。
「ニーチェって何?―こんなことをいった人だ」という題名とサブタイトルからして怪しげ、しかもセンスが無いのだが、中身も話し言葉で延々とニーチェに関して語られる。まさに、ニーチェ厨によるニーチェ厨のための一冊。もう、ニーチェが大好きで大好きで堪らなく、誰かと語り合いたくて仕方が無いような人にお勧め。
題名を見て「ニーチェって何?」とか思っちゃうような人が買うと、ドラクエの戦闘中、泥人形に不思議な踊りでMPを全部吸い取られた後のような、微妙な気分に浸れる事だろう。
とりあえず、ニーチェに関する入門書のつもりで買ってはいけない。
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