遺伝子改造社会あなたはどうする(洋泉社新書028)
ポストゲノム革命期社会が直面する難問とはなにか?近い将来、ヒトゲノムの解析が進行すると単一の遺伝子の異常が起こす病気は発病前に診断可能になる。致命的な遺伝病になると予想される胎児は中絶すべきかどうか?遺伝子診断の結果、病気のリスクの高い人の健康保険の値上げは許されるかどうか?さらに遺伝子工学の日進月歩により、あなたの子どもの身長を高くし、知能ももう少しよくすることができ、美人の子どもすら可能と言われたら、あなたはどうするか?バラ色に彩られがちなヒトゲノム解析の行く先を透視する構造主義生物学の旗手と『サイエンス・ウォーズ』の著者の白熱の対談。

突っ込み部分は、SFっぽい領域まで多岐にわたっていて、それなりに面白いのだが、科学的な説明や根拠が薄く、単に自分の主観にすぎない部分が多いのは微妙。

性格や性質に影響を及ぼすような遺伝子も嘘だと切り捨てているが、ならば各国の研究機関や大学で発表されているのは全部ガセネタなのか? 嘘なら嘘でも良いから、それぞれの事例について、全部嘘ですというソースを明示すべきだと思うのだが。

癌遺伝子のある人間が100%の確率で病気になったりしないように、発見されたと発表されている遺伝子についても、そのトリガーを引くかどうかは環境要因や状況等も影響するのだから、即座に遺伝子の責任にしてしまうのもどうかと思うけど、その存在自体を否定するならば、せめて根拠は示そうよ……。ちなみに、遺伝子が関係無いのならば、凶悪犯罪者は男女半々になるのが妥当だと思うのだけど、明らかに偏りがあるのは、どう説明するの?

もう少し、納得の行く説明やソースを示さなければ、たんに二人でくっちゃべっているだけに過ぎないよなぁ。洋泉社新書で読むなら、「ゲノム解読がもたらす未来」のほうがお勧めだし、遺伝子改造については講談社ブルーバックスから出ている「人体改造の世紀」のほうが良い。

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