けちゃっぷ

2009年11月4日 読書
引きこもり女子HIROは全く口をきかないが、人と話す時は携帯から、言いたいことをブログにアップして爆裂トーク。血でもない、ケチャップでもない、「血のり=けちゃっぷ」のようなバーチャルな現代に迫る、驚愕すべき才能の誕生。これってケチャップ?それとも、血?目の前にいる人と話す時も、ソッコー連打で携帯からブログにUP。誰とも口をきかない女子“改造人間ブログ更新ツヅケル”が出合った事件とは!?第45回文藝賞受賞作。

第45回文藝賞受賞作。

出だしから、偏差値30くらいの人が書いたような文章で、僅か3ページ目くらいで投げ飛ばしそうになった。しかし、この頭が悪そうな文章は、引き篭もって誰とも喋らなくなった“改造人間ブログ更新ツヅケル”というキモい女が書き散らした、ブログの文章という設定だった。

それにしても、地の文に思える部分の大半が、ブログに書き散らされたチラシの裏というのは強烈すぎる。こんなチラシの裏設定で応募してしまうというのは、ある意味、発想の勝利だよね。

これが才能かどうかについては、なんとも言えない。こういう、頭がおかしい文章は、そういう人の吹き溜まりみたいになっている場所に、ゴロゴロ転がっている。ネット小説クオリティで河出書房新社狙いというのは、目の付け所が良いと思う。集英社とか文藝春秋とか、他の会社なら応募しても選考通過は無理な気がするので、この作者が最初にやったかどうかは分らないけど。

チラシの裏ブログで自殺を仄めかす主人公と、会いたがって強引に約束を取り付けたヘタレAV男優、バイセクシャルで少しキ印な思想に汚染された監督、そして、監督が手掛ける駄作のために死体を演じる、ヘタレ男の元カノなAV女優。

一体、どういう結末を迎えるのかと思いきや、吉田修一以上に、「だから何?」と言いたくなるような、どうでも良い終わり方。斬新さと文章力も舞城王太郎と比べたら大きく劣るし、これで純文学扱いされると複雑な気分になる。星野智幸みたいな難解な文章と違って、偏差値30くらいでも読めそうだから、ゆとり世代にはちょうど良いかもね。

文藝賞を狙ったという部分も含めて、発想は良かったと思うが、勢いばかりの携帯プッシュ攻撃が、あまりにもネット小説クオリティすぎるので、どうにも受け入れられなかった。

発想点は★★★だけど、改造人間ブログ更新ツヅケルの無茶苦茶すぎる駄文攻撃には★しかつけたくない。

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