バイト雑誌を立ち読みしていたビンボー大学生・結城は、ひとりの少女から声をかけられて……。この夏、鮮烈なミステリーがはじまる。
表紙は可愛いのだけど、随分と殺伐とした内容だった。ノワール小説とかメフィスト系統の話が好きな人は気に入るかも。
誤植したとしか思えない金額が書かれた怪しいバイトに参加した十二人。ある者は半信半疑で、ある者は怪しいと思いつつ、ある者は切羽詰ってと、それぞれが様々な事情を抱えながら集められる。
コンビニには似つかわしくない金持ち令嬢風の女に、バイトを探していると相談された主人公。彼が求人情報誌を捲っていたところ、掲載された広告の中に、一一二0百円という怪しげなバイトがあった。
1120円の誤植だと思いつつ応募してみたのだが、本当に時給11万2千円だという怪しい話だった。集められたのは十二人。その中には、コンビニで出会った金持ち風の美女もいた。
とても危険なバイトのように思えるのだが、その内容は契約するまで一切教えられない。身の危険を感じつつ、仕事をする事に決めた十二人が連れて行かれたのは、地下に造られた暗鬼館という場所。
各自に用意された鍵がかからない寝室と、箱の中にある人殺し用の道具。参加者は、ここで人を殺したり、殺人犯を見極めたりすれば破格のボーナスが上乗せされると説明される。お互い、疑心暗鬼に陥る中、一人ずつ何者かに殺されて行く。
舞台装置と殺害方法、謎解きが優先で、メフィスト賞っぽい嘘臭さを感じる。ゲーム感覚な内容だが、推理するのが好きで、古典的名作も読みこなして来た人なら楽しめるのかも。
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