秋期限定栗きんとん事件 下
2009年11月19日 読書ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど…ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ―。
小佐内さんと付き合う瓜野は、連続放火事件を追ううち、犯人が近くにいるのではないかと思い始める。事件現場にいたらしい、小佐内さんが非常に怪しい。気になって受験勉強に影響が出る小鳩常悟朗も、別口で犯人を追い始めるのだが……。
状況から見ると、小佐内が非常に怪しい。という事は、絶対に小佐内さんが犯人ではないのだろうと思いつつ……。だって、いかにも怪しい人物がそのまま犯人だったのでは、ミステリーとしてちっとも面白くならないからね。
これは小説だから、穿った見方をして読むのでミスリードはされないけれども、実際に身近で事件が起これば、やはり小佐内さんを疑ってしまいそうだよなぁ。
クライマックス直前、小鳩は教室に呼び出されて、カップル解消。二股三股状態なのを知りつつ、嫉妬もしてくれない小鳩を「最低」呼ばわりして去って行く元彼女。しかし、どう考えても女の方が最低だと思うが。
二股三股女と、それに嫉妬しない無関心男。どちらも人間性には問題あるかもしれないけど、彼我の差は作為と無作為の作為程に隔たりがあると思うけど。殺人で例えたら、積極的に人を殺すのと、溺れている人を助けず見殺しにする位は「最低」に差があるんじゃないの? 小鳩が最低なら、仲丸十希子は最低の最低レベルだと思う。自分が二股三股しておいて嫉妬しろと言うのは、「ああっ、嫉妬されちゃうあたしって素敵!」みたいな、恋に恋する馬鹿女によくあるシチュエイションではあるけどね。
犯行現場に現れた小佐内さん。
続いて現れた小鳩。
さらに、彼女を追って現れた瓜野。
瓜野はすっかり、小佐内さんが犯人だと確信しているのだが、実際のところは……。えっ!? あいつが犯人なのか。
それにしても、、何で小佐内さんは、これほどまでミスリードするような言動を取るのかと思ったら……。そんな理由で怒るのか!? 小佐内さん怖い(笑)。暗黒属性が健在で良かった。かくして、二人は元の鞘に収まるというか何と言うか……。やはり、小鳩&小佐内カップルじゃないとね。
ところで、犯行現場に現れた小佐内さんは、何で別の学校のセーラー服を着ていたのか? 謎のままのような気がするんだけど。あと、小鳩が相手でも、勝手に……しようとしたら怒るんだろうか?
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