「私の裏切ったとは、思わぬ」すべてを知っても、そう言って微笑もうとするクリムをカルロは抱き寄せる。「君を残していくことはしない」迫る隣国の脅威、私欲しかない家臣たち。危機感を覚えても、どうすることもできず孤立する若きシュラトス王国女王クリムエラの前に、一人の戦士が現れる。カルロと名乗り、政治、軍事と鮮やかな手並みを見せるその男は、短い間にクリムの中で、大切な存在となってゆく。…だが、彼にはある秘密が…。そして、そのために二人は同じ道を歩めないはずだった。それでも。クリムとカルロは誓う―「どんな刻も、一緒に生きる」と。約束を果たすため、彼らの“運命”との闘いが始まる! 第16回ファンタジア長編小説大賞準入選受賞のピュア・ラブストーリー。ひとつの出会いが、刻を超え世界を変えてゆく―。

第16回ファンタジア長編小説大賞準入選受賞。

異世界ファンタジーは溢れかえっているので新鮮さは足りないかもしれないが、近年の作品にありがちな、馬鹿っぽさやギャグ路線、萌えなどはなく、読者には迎合していない正統派だった。

帝国の侯爵にして秀才軍人カルロと、父や弟を暗殺され、若くして女王となってしまったクリム。こう来れば、帝国に攻められているのが王国で、敵同士なのにロミオ&ジュリエット路線な黄金パターンだとばかり思っていたのだが……。

クリムのシュラトス王国は、二千年も前に滅びているじゃないか! カルロ、呪いの神殿から二千年前に飛ばされているじゃないかっ! という訳で、異世界ファンタジーだけどタイムトラベル物で、クリム女王を救うために歴史改変に挑む事になる。

最初は自分の時代へ帰ろうとするカルロだが、次第に過去世界で生きようとし始める。しかし、いつか元の時代へ飛ばされるのではないかと危惧し、あらゆる改革を実行し、侵攻して来る敵国への備えを万全にする。もし自分が未来世界へ戻っても、クリムが生き延びられる為に……。

読者に媚びない硬派作品だけに、ハッピーエンドでは終わってくれないのか。カジシンみたいなご都合主義を期待してはいけない。

物悲しい結末に気力吸い取られそうになっていたのだが、続編あるのか! このまま終わらなくて良かった。

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