小学校4年生の結仁は魔法使いになりたいと真剣に願うちょっと変わった女の子。放課後は毎日、幼なじみの史人、葵と魔法使いになるための特訓をしていた。合い言葉は、「3人の願いが叶うまで魔法使いクラブをやめてはいけない」。しかしある日、七夕の短冊にその願いを書いたことがきっかけで一瞬のうちに、クラスの笑い物になってしまう。一人だけ違う世界にはじきとばされたような、さみしくて怖い気持ちに襲われる。8年後、高校3年生になった結仁はまだ、「世界は突然自分を裏切り、はじきだす」という呪いのような記憶にしばられて生きていた―。
題名と見た目で児童書なのかと思ったら、違った。始まりは小学生なので、やや児童書っぽい感じだけど、そこから中学、高校と成長して行くので、最後のほうはドロドロした感じになる。
この一作で、喪女主人公のショボい恋愛物から脱却して、女流の枠からも飛び出たと思う。ならば、芥川賞も完全にフシアナさんという訳でも無いのかな?
魔女になりたいという願いを、七夕イベントで素直に書いてしまったがために、ハブられてしまう結仁。イジメ小説になったら面白くないなぁと思ったが、中学、高校と進んでいくので、そう酷い事にはならなかった。が、この事件がトラウマ化したのか、主人公の性格が斜に構えた感じで、どんどん荒んでくるのが、なんだかなぁ……。
家族も上手く行かず、人間関係も壊れていくばかりで、一緒に魔法使いクラブを結成した三人もバラバラになり、決別してしまう。魔法は魔法でも、夢や希望のあるモノではなく、どんどん黒くなって行き、暗黒属性が入ったまま終わってしまう。
最後の最後が尻切れトンボな感じで終わってしまったのが残念。純文学みたいなブツ切りではなく、エンタメ系のきちんとした結末で終わって欲しかった。
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