祭りの夜には、ねずみ石をさがせ。かなう願いは、ひとつだけ―。中学一年生のサトには、四年前のお祭りの記憶がない。恒例の子供向けイベント「ねずみ石さがし」の最中に、道に迷って朝まで行方しれずだったのだ。同じ夜、村ではひとつの惨殺事件が起こっていて、今でも未解決のまま。交錯する少年たちの想いが、眠っていたサトの記憶に触れたとき、事件は再び動き始める。瑞々しい青春推理長編の最新作。
表紙は良い感じだったのだが、内容が微妙だった。未解決殺人事件に絡んで、記憶喪失の少年が巻き込まれて行くのだが、失われた記憶を廻ってのドキドキ感が足りない。「ボーン・アイデンティティ」の足元にも及ばない。
母子を惨殺した犯人は、今も捕まらず何処かにいる。事件当日の記憶を失ったサトが、何かを見たかもしれないのだが……。サトの周囲にいる人間が、それぞれの思惑で動き始める。過去の事件に絡んだものと思われる新たな殺人事件まで発生するのだが、いまいち盛り上がりに欠ける。
ミスリードもストレートすぎて上手く行ってないし、犯人に辿り着くためのヒントは無いので、結末に向けて、淡々と読み進めるだけになる。題名になっているねずみ石の役割も印象が薄いし、キャラ立ちも不足気味。これなら2時間物の陳腐なサスペンスドラマでも見たほうが、まだ楽しめる。
この素材で横溝正史が書けば、相当気色悪い力作が出来そうなのになぁ。この作家は、人が死なないミステリーのほうが良い。「平台がおまちかね」の続編を読みたいのだけど。
コメント