右眼に藍玉(アクアマリン)のような淡い水色、左眼に紫水晶(アメジスト)のような濃い紫色の瞳をもつ石細工屋店主・風桜青紫(かざくらせいし)と、彼を慕う女子大生・鴇冬静流(ときとうしずる)。先生に殺されたいと願う17歳の霧嶋悠璃。境界線(ボーダー)を彷徨う人々と、頭部を切断された犬の首を縫い付けられた屍体。異常と正常。欲望と退屈。絶望と救い。根源を射つメフィスト賞受賞作!!
ゲーム感覚で人が殺されて行き、連続殺人鬼を狙う連続殺人鬼がいるという構図は、いかにもメフィスト賞らしい。最初から先生絡みでミスリードを狙っているのがバレバレなのは残念。
沈黙したままの連続爆弾魔、連続少女絞殺犯、連続人肉嗜食殺人鬼。数々の事件が未解決のまま途切れて迷宮入り。連続少女絞殺犯と連続人肉嗜食殺人鬼に関しては、容疑者らしき人物が最後の被害者となっており、その共通点は、左腕が消えているという点。
連続殺人鬼をターゲットに連続殺人を行う存在が疑われているが、解決には程遠い。そんな中、首が切断され、代わりに犬の首が縫い付けられるという猟奇殺人が発生する。
構造はなかなか良さそうなのだが、登場人物の名前が風桜青紫(かざくらせいし)、鴇冬静流(ときとうしずる)、霧嶋悠璃(きりしまゆうり)とかだらけのDQNネームな厨設定。しかも記号化されすぎで、人物描写が物足りない。
美女ばかり出てくるのも、なんだなぁ。石細工屋店主を慕う女子大生も美女。近所に住む臨床医も美女、連続殺人犯の現場を目撃し、殺されたがっている少女も可愛い設定。連続殺人鬼に痛いコードネームばかりつけたがる電波さんな警視も美女だし、殺されて行く被害者も全員美女。ここまれ美女オンパレードでは、価値が下がる。
石細工屋店主の華麗な推理により事件が解決する訳でもなく、女子大生が活躍する訳でもなく、連続殺人鬼を殺して回る殺人犯をメインにしたノワール小説でもなく、何もかもが中途半端な感じだった。暴走しまくって役立たずな美女の警視も嘘臭い。
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