恋細工

2010年2月19日 読書
一匹狼の職人・時蔵と女だてらに細工師を志す錺工房の娘・お凛。周りと打ち解けず、独り黙々と細工に打ち込む天才肌の時蔵に振り回されながらも、お凛は時蔵に惹かれていく。そして、反発し合っていた二人の心が銀細工を通じてかさなった時、天保の改革で贅沢品が禁止された江戸の町に活気を取り戻す、驚天動地の計画が動き始めた…。若い男女の哀しく切ない恋模様を描く本格時代小説。

この作者も、レベル高めの作品が多いので安心して読める。ゴメスは時代小説風味でありながら、設定がSFっぽい感じだったのだが、最近のは本当に時代小説になっている。

錺工房の娘、お凛は、江戸に流れてきた天才細工師の時蔵を迎え入れるよう言われていたので、捕えられていた彼の身元を引き受ける。しかし、時蔵は周囲の職人と対立ばかりする困ったちゃん。されど誰も見た事が無いような技を習得しており、腕前は抜群。

工房の四代目が跡目を決めぬまま病死してしまったのだが、遺言により、五代目の候補を決めるのは三年後。工房にいる数人の職人が候補なのだが、その中には時蔵も入っていた。

金には興味を示さず、ただ新しい細工に命を懸ける時蔵。細工が大好きなのに、女が職人になるのは認められないような江戸時代に産まれてしまったお凛。二人は次第に心惹かれあって行くのだが、天保の改革により贅沢品が禁止され、工房が存亡の危機に陥る。

それにしても、天保の改革というより改悪だよな。パイが縮小するばかりで不況になっただけ。経済も混乱し、貸し渋りが横行。結果は幕府の力を弱め、薩長のような雄藩が力をつけただけ。重農主義ではなく、重商主義で消費税みたいなものを導入したほうが良かったんじゃないのか? 

でも気が狂ったとしか思えないほどの借金はこさえてないから、不況とはいえ、何処かのの某金権腐敗政党と比べたらマシか(笑)。水野忠邦絡みで、妖怪奉行も名前が出てくるのだが、鶴太郎の顔がチラついて仕方が無い。

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