ゲッベルス(中公新書1025)
ヒトラーを取り巻く人々の中でも、ゲッベルスの特異性は抜きん出ていた。軍隊経験を持たず、常に私服で通し、打算と無縁のヒトラー崇拝を貫き、必ず自らを「博士」と呼ばせた女誑し。良識ある市民によって選ばれた政治家でも、伝統的保守主義者でもなく、いわばよくある極石崩れの妄想狂だった、ゆがんだ逆行的モダニストが、宣伝と技術と感覚と行動力のみによって大衆を動員していった経緯を、公刊された厖大な日記によって辿る。

狂気と狂気が結びついた時、世界は大いなる悲劇への道を歩んだ。絵描きになれなくて独裁者となった男も強烈だけど、その男に魅せられて水を得た魚の如く突き進むゲッベルスも恐ろしい。国軍の元帥達がヒトラーを見限る中、ゲッベルスだけは運命を共にした。

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