「赦されること」と「受け入れられること」それがこの世の中で、一番うつくしいことだと思いませんか。世界一、うつくしい物語。
少し不思議な能力を持っていたり、不思議体験をしてしまう人々の話が七編入った短編集。
いきなり、表題作にしてやられる。主人公がまだ子供だった頃、綺麗なおばさんが持つ不思議な力を見せられる。それは、生命を再生させるという特殊能力だったのだが、無尽蔵に湧き出てくるものではなく、自分が持っている力を分け与えるというものだった。つまり、使えば自分の寿命が減ってしまう訳で……。こんな能力は、あっても使えないし、あまり欲しくないよなぁ。この設定の時点で、すでに結末は見えたも同然だったのだが、オチにしてやられた!
他にも、雨の日にだけ他人の心の声が聞こえてしまう少女や、百年くらい使っている中華鍋が特殊能力を持っていたりと、面白い。後半の短編になるにつれ、不思議成分が減少し、何処かでありそうな、常識の範囲に収まる物語になる。
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