灰色のダイエットコカコーラ
2010年3月6日 読書「覇王」として君臨した祖父の高みに至るべく、「特別な自分」を信じ続けようとする「僕」。北海道の片隅で炸裂する孤独な野望の行き着く先は、「肉のカタマリ」として生きる平凡な人生か、それとも支配者として超越する「覇王」の座か?さあ、世界のすべてを燃やし尽くせ。
北海道にある町で覇王として君臨した無茶苦茶な祖父を持つ青年が、自らも覇王になろうと目論む。しかし、具体的に何をしてどうなりたいのかという部分については考えが纏らず、努力も皆無でグダグダしたまま、駄目人間状態。
キチガイな祖父が周囲の人間を馬鹿にして「肉のカタマリ」と呼んでいたのだが、青年自身が肉のカタマリそのもの。何も努力をしないのに根拠無く自分の才能を過大評価し、夢ばかり大きく語るという、ゆとり世代によくいるキャラである。だが、その方向性が芸能人とか作家とかプロ野球選手とかではなく、覇王だから電波が入りすぎていて痛い。
祖父のキ印を中途半端に受け継いだヘタレな青年は、クラスメイトにハサミを投げつけたハサミちゃんと再会、さらにはハサミちゃんの知り合いの末期癌少女とも関わる事になる。この二人も主人公に負けず劣らずキ印人間なのだが、ハサミちゃんは肉のカタマリ方向に引っ張ろうとするし、末期癌少女は覇王方向に引っ張ろうとするし、ヤクザの組長まで出てきて拉致されるし、組長の息子もキ印……。
なんか、主要キャラがキチガイばかりになってない? 相変わらずキレた小説ばかり書いているなぁ。二段組で、上下の余白が少なすぎるので、非常に読み難かった。
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