東京の観光スポットをめぐるバス会社・アヒルバスに入社して五年のバスガイド高松秀子(デコ)は、わがままなツアー客に振り回されながら仕事に励む毎日。ある日突然、新人バスガイド研修の指導員に指名されるが、自信のない態度が災いして、新人教育は遅々として進まない。そんな中、同期の中森亜紀にアヒルバスの「革命」を持ちかけられて……。軽快なテンポとユーモアあふれる筆致が笑いを誘う一方、主人公デコをはじめバスガイドたちが、それぞれに悩みを抱えながらも奮闘する姿は、胸に沁み、生きる元気が湧いてきます。名手がおくるとびきりのお仕事&青春小説です。また、アヒルバスのガイドたちによる東京名所の観光案内も読みどころのひとつ。二重橋、都庁、お台場、東京タワー、浅草、築地本願寺など、よく知っているつもりの観光スポットも、デコたちのガイドにかかれば意外な新発見があるかも。アヒルバスならではのTOKYO観光をお楽しみください。
ちょっと題名がふざけた感じに見えるけど、結構面白いお仕事小説だった。最近の山本幸久はお仕事絡みの小説が多い。今回は、バスガイドさん。最近は合理化と人件費削減で、バスガイド無しが増えてきた気がするが、物語の舞台となるのは東京都内を観光するバスツアー会社なので、ガイドは必要不可欠な存在である。
主人公のデコは、もはや新人ではないけれども、ベテランと言うにはまだ未熟な、微妙な立ち位置にいる。自分を教えてくれた先輩はヘッドハンティングでいなくなり、同期も自分含めて二人しか残ってはいない。
ある日のツアーで、ちょっと怪しげな行動を取る若い女の子(推定、高校生)と仲良くなるのだが、この謎の高校生、実は……。これはネタバレする前に正体が分かってしまった。この日のツアーには、常連の偽伯爵も乗っていて、これが後の伏線となる。
いい事も嫌な事もあるけど、前向きに仕事をしている主人公デコが素晴らしい。あと、実在するのか脳内妄想なのか判らないけど、ピノの神様最高(笑)。
コメント