ベガーズ・イン・スペイン
2010年3月13日 SF特集21世紀初頭、遺伝子改変技術により睡眠を必要としない子供たちが生まれた。高い知性、美しい容姿だけでなく驚くべき特質を持つ無眠人は、やがて一般人のねたみを買い…「新人類」テーマの傑作と高く評価され、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、アシモフ誌読者賞、SFクロニクル読者賞を受賞した表題作をはじめ、ネビュラ賞、スタージョン記念賞を受賞し、“プロバビリティ”3部作のもととなった「密告者」など全7篇を収録。
日本で独自に編集されたナンシー・クレスの短編集。プロバビリティ三部作の元となった短編「密告者」も入っている。基本設定は似ているのだが、やはり長編になっているもののほうが、物語に奥行きが出て完成度も高い。
結構、SFにしては地味で淡々とした話が多いのが微妙なところだが、遺伝子改変を行える社会となった「ベガーズ・イン・スペイン」は面白かった。睡眠を必要としない無眠人は、通常の人間よりも能力が高く、やがて妬みにより排斥されて行くという、それ何てガンダム・シード? 状態に。
実際のところ、ジーン・リッチと通常人の間に妬みは発生しても、対立して争いになったりはしないと思う。遺伝子を改変出来るようになっても、実際に利用出来るのは一部の金持ちだけだし、権力を握っている側は、ほとんどの場合において圧倒的に強いのだから。
これまでで、権力側がしてやられたのなんて、ロシア革命くらいじゃないのか? ジーン・リッチ程度で争いになるのならば、今現在の資本主義社会体制だって、金持ちと貧乏人の対立によって、資本家達が抹殺されている筈である。
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